KATO中空軸車輪車軸抜取り・VP002車軸差込手順
作例はKATO中空軸車輪から車軸を抜き取り、
VP002(1.3mm厚黒染車輪)でNjゲージ(6.5mm軌間)車輪を作ります。
1:必要工具例、前準備
バイス(なければペンチで代用可)、ラジオペンチ、ノギス、小型ハンマー、ピンセット、Φ0.8〜0.9mmの不要ドリル刃 
加工前の全軸長を計測。この値が加工後の仕上り寸法になります。
 3:車輪を抜く、軸を抜く
くるくると回すように引っ張ると徐々に黒いチューブ部分(以下:スリーブ)から軸が抜けていきます
ラジオペンチが滑らないように注意しましょう。
大量にこの作業を行うと指が痛くなるので、ハンカチやティッシュなどで指を保護することをおすすめします。

小型ハンマーで軸を叩いて押し出します。車輪いっぱいまで軸をスライドさせます
バイスがない方はペンチの上をバイス代わりにしてください
φ0.8〜0.9mmの不要ドリル刃を軸に押し当て抜き落とします
この時のドリル刀の保持はピンセットよりラジオペンチのほうが安定します
6:新車輪に軸を打ち込む、軸の出具合を調整する
抜き落とした軸を新しい車輪に打ち込みます。
万力で車輪表面に傷が入りやすいので、プラスチック板や樹脂板を敷いたり、1mm強の穴を開けた建築用の硬質樹脂水準計などを使用することをおすすめします。

軸の出具合を計算します。

VP002を全軸長13.2mmでNjゲージにする場合、KATO軸の長さは5.95mmでVP002の厚みは1.55mm(厚み1.55mmの理由は後述します)なので、

全軸長13.2 - バックゲージ5.25 - 車輪の厚み1.55*2 = 両軸の出具合4.85
両軸の出具合4.85 / 2 = 片軸の出具合2.425・・・上写真のA
軸の長さ5.95 - 上写真のA 2.425 - 車輪の厚み1.55 = 1.975・・・上写真のB

と、なります。
5.95mm長さのKATO軸を使用した場合の各寸法は以下の表の通りです。

※KATOの軸は5.95と6.9mmの2種類の長さが存在します。
古いKATO製品は6.9mm軸を使っていることが多く、逆に最近の製品はほとんどが5.95mm軸です。事前に軸の長さを測定することをおすすめします。
○1.3mm厚車輪のVP002が1.55mm厚さで計算している理由
VP002は車輪リム部分が1.3mm厚で、車輪ボス部は左写真のように飛び出ております。ボス部は1.55mm厚で製造されております。
この飛び出ているボス部にスリーブが当たりますので1.55mmで計算します。

○ボスとリムの厚み違いの理由
車輪ボス部分のみ分厚くすることで、VP002は弊所別売製品のZゲージ改軌用スリーブ[VP100]を使用して改軌してもバックゲージ5.55mm(Njゲージの基本バックゲージは5.25mm)となるように製造されております。バックゲージの拡大理由は薄厚車輪ゆえの分岐器などでのはまりこみ脱線を防止するためです。
軸の出具合がわかったら、その寸法めがけてハンマーで軸を押し出し、計測、足らなければ押し出しを繰り返します。
軸を押し出しすぎて押し出し量を戻す場合は、ハンマーでピボット側をたたきますが、ラジオペンチでもプライヤーでもなんでも結構ですので、ピボット軸を保護してください。

軸の長さを測定するときはピボット側(前出写真中A)でもフランジ側(前出写真中B)でもどちらでも構いませんが、フランジ側(前出写真中B)のほうがノギスを当てやすいです。
写真はピボット側にノギスを当てております。
4:車輪組み立て
手で簡単に圧入できます。
VP002をNゲージ軌間で製作する場合は、バックゲージ7.9mmになるようにNゲージスリーブと車輪の間に0.1mmのスペーサーを挟み込んでください。
0.1mmのスペーサーはコピー用紙を挟み込めば代用できます。
9:仕上り確認
加工前の全軸長と同じになっていることを確認しましょう。
同じ寸法なら完成です!
 10:台車へ組み付け

台車に組付けます。
フランジが接触するため、台車側にも加工が必要な場合があります。
 
加工お疲れ様でした。
お帰りは「閉じる」で