VP3D-100
Njゲージ用3Dプリントギヤスリーブ
KATO製 電車・気動車用
12個入(ボギー車2両分+予備4個)
説明書&組み立て例
作例はKATO製223系動力台車を改造し、全軸長は13.2mm程度で仕上げます。
台車加工が終わっている方は
「5:VP3D-100(以下:3Dギヤスリーブ)の切り出し」からご覧ください
全軸長14.2mmで製作をされる場合、車軸挿入量の少なさゆえ
組み立て後に車輪振れの発生する頻度が上がります。推奨は全軸長13.2mm程度です。
 1:必要工具例、前準備
ラジオペンチ、ノギス、カッター、ヤスリ、ピンセット、
バイス(なければペンチと適当な金属文鎮で代用可)
小型ハンマー、糸ノコ(あれば電動リューター)
不要歯ブラシ、つまようじ数本
 2:台車・車輪を分解する


台車を分解し、黒いギヤ付きのチューブ部分(以下:ギヤスリーブ)から車輪を抜き取ります。
少し力が必要ですが、手で引き取ることができます。
くるくると回すように引っ張ると徐々にギヤスリーブから軸が抜けていきます

片側の車輪が抜けると手で保持するのが難しくなります。
その時はギヤスリーブをラジオペンチで軽くにぎって、ラジオペンチをギヤ側面に当てながら引き抜くと比較的容易に抜き取りできます。
大量にこの作業を行うと指が痛くなるので、ハンカチやティッシュなどで指を保護することをおすすめします。
3:車輪の改軌


改軌前と改軌後で全軸長が同じになるようにします。

計測の結果、今回は全軸長13.2mm、車軸単体の長さは5.95mm、車輪の厚みは1.65mmでした。

※KATOの車軸は5.95と6.9mmの2種類の長さが存在します。
古いKATO製品は6.9mm軸を使っていることが多く、逆に最近の製品はほとんどが5.95mm軸です。事前に軸の長さを測定することをおすすめします。
軸の出具合を計算します。

全軸長13.2 - バックゲージ5.25 - 車輪の厚み1.65×2 = 両軸端の出具合4.65
両軸端の出具合4.65 / 2 = 片軸端の出具合2.325

これでピボット軸の出具合がわかりました。さらに計算しますと

軸の長さ5.95 - 片軸端の出具合2.325 - 車輪の厚み1.65 =1.975

となり、フランジ側の軸の出具合が1.975mmとわかります。

軸の出具合がわかったら、その寸法めがけてハンマーで軸を押し出し、計測、足らなければ押し出しを繰り返します。

軸を押し出しすぎて押し出し量を戻す場合は、ハンマーでピボット側をたたきますが、ラジオペンチでもプライヤーでもなんでも結構ですので、ピボット軸を保護してください(なんならそのままピボット軸を叩いても多少は問題ございません)

車軸押し出し用の治具を作成して、バイスではさんで軸を押し出す方法もあります。

この際、適当な金属片や金属ギヤ等をはさんで、ピボット軸の保護をしてください。

治具は古車輪などを削るなど各自工夫なさってください。
 4:ギヤボックス等の切削
Njゲージ化によって車輪が接触するギヤボックスや台枠部を削ります。
ギヤボックスは肉厚の半分くらいのところ(赤点線)にカッターなどで切り込みを入れてスライスしていくと車輪に当たりません。
この時ニッパーで切り取ろうとするとギヤボックスを割ってしまうので、糸ノコやカッターなどで慎重に作業してください。
電動リューター等があれば便利です。

台車台枠はギヤケーシングをごそっとニッパーなどで切り取ってください。
このとき注意していただきたいのが、ニッパーでギヤボックスを切る前にギヤボックス上面にカッターで軽く切り込みをいれておくことです(ニッパーの切り取り圧力を逃がし、台枠の割損を防ぎます)
また、ニッパーは思い切りパチンと切り落とすのではなく、グニッとギヤケースの壁を潰し切るような感じでそっと切り取ってください。


ニッパーで切り取り後、車輪フランジの逃がしを作ります(矢印部分)
カッターなどで台枠内側を切り込みます。

カプラーが台車マウントの車両は、カプラー腕を残すように切削してください。カプラー腕はカッターや電動リューターで慎重に切削してください。
  5:VP3D-100(以下:3Dギヤスリーブ)の切り出し
ニッパーなどでランナーから切り出します。
この時、3Dギヤスリーブの端が欠けることがありますが、多少は問題ありません。
ランナーのバリなどはしっかり除去してください。
この時、3Dギヤスリーブのバックゲージを念のため計測しておくことをおすすめします。
本製品は3Dプリントによる造形物ゆえに積層精度に誤差があり、弊所調べではおおかた5.25〜5.3mm程度(Njゲージバックゲージは5.25mm)で仕上がっているものが多いです。そのため車輪を組み上げた際に全軸長の仕上がり寸法に差異が出てきますので差異把握のため計測することをおすすめします。
6:車輪組み立て
手で簡単に圧入できます。
この時、一気に圧入せず、少しずつ車輪に均等に圧をかけるように圧入すると車輪の振れが出にくくなります。
※それでも積層精度のムラにより振れが出る場合があります。その際は予備と交換してください。
車輪圧入後でも写真のようにうっすら隙間ができる場合がありますが、多少は問題ありません。
気になる方は3Dギヤスリーブ端をやすり等で磨くとピタッと接触するようになりますが、3Dギヤスリーブ端の直角や平面度をなるべく損なわないようにご注意願います。
車輪を組み上げたあとは全軸長を測定し、手持ちの適当な台車枠などで車輪の振れを確認してください。
 7:台車へ組み付け
車輪は集電板ごとポコッと台車枠に入れ込むのが簡単で、台車枠を傷めにくいです。
車輪を台車組み付け後に再度取り外す際はつまようじを使用してこじるようにすると車輪に傷がつきにくいです。
ギヤボックスをはめ込む際はギヤ同士のかみ合わせを確認してからギヤボックスをはめ込んでください。
ギヤボックスを写真のように少しはめて、ギヤを指で動かして喧嘩していないことを確認してから完全に押し込んでください。
ギヤの山と山が喧嘩した状態ではめ込んだことで3Dギヤスリーブが割れることがあります。
完成!加工お疲れ様でした。
 
車両組付け後はギヤ同士を馴染ませるため慣らし運転を行ってください。
その他ご理解いただきたい点

3Dギヤスリーブは軸穴にあまり耐久性がないため、軸の抜き差しは数回程度に留めていただきますようお願い申し上げます。

また、本製品を使用して仕上げる車輪の全軸長は幣所では14.2mmまで確認しておりますが、車軸挿入量の少なさゆえ、車輪振れの発生する頻度が上がります。あらかじめご承知おきくださいませ。

正直申しましてギヤ設計は素人のメーカーであります。
厳密にはピッチ等があってないかもしれませんが、交換後の車両が問題なく走行しているのでしたらそれでよしとしていただければ幸いです。

本製品はKATO製の電車や気動車動力台車に装着することを目的に開発しておりますが、他メーカー製品への応用は可能かと思われます。その際はご自身の責任において工作なさるようお願い申し上げます。
ギヤ部分にほこりが噛みこんだ場合、突っかかりが発生し安定走行に支障をきたすことがあります。定期的にギヤ部分の清掃をお願いいたします(左写真はKATO製ギヤによるほこり噛みこみのイメージです)
3DギヤスリーブはKATO製純正ギヤより歯たけが少しだけ長いので、ほこりの噛みこみによる走行不良が若干発生しやすいです。
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